演舞場発 東寄席 第四十一回

演舞場発 東寄席 第四十一回 2018年7月27日(金)

 第四十一回 『落語と日本酒と伝統野菜を楽しむ会』にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。
『第四十一回 落語と日本酒と伝統野菜を楽しむ会in新橋演舞場』三遊亭兼好

 盛夏を迎え、例年にも増して厳しい暑さが続く頃「東寄席」が開催されました。
今宵「東寄席」には三回目のご登壇となります三遊亭兼好師匠を高座にお迎えして思う存分ご堪能いただきました。

 お食事は、新橋料亭街伝統の味を受け継ぐ演舞場の調理場でご用意させていただきました。
本日のお料理と共にお楽しみいただくお酒は、二度目のご紹介となります茨城の木内酒造さんにご用意いただきました。それでは振り返りをご紹介いたします。

演舞場の味覚を楽しむ

本日の演舞場のお料理

 新橋料亭街で研鑽された伝統の味を大切にしている演舞場の厨房が、季節感を愉しめる献立を今回も皆様にお召し上がりいただけるよう準備しました。

酒の肴膳として、
先付けには本日の江戸伝統野菜、寺島那須の辛子味噌掛けをお召し上がりいただきました。
小ぶりでとろりとした食感がたまりません。

向付は、鯛、鮪をご用意。

八寸には、玉子焼、福砂焼、
蛤の大葉巻き上げ、京なます、牛肉西京焼、海老団子揚、キャベツと蛸のメンチカツ。
烏賊のゴマ塩だれ和えは、本日1杯目にご用意したビールにも日本酒にもぴったりです。
自家製の南京カステラはほっとする甘さ。
白瓜、小海老、水前寺海苔の小鉢は、猛暑にひとときの清涼感を与えます。

煮物は、新橋演舞場自慢のお出汁で炊き上げた、
里芋、白立つ、南瓜、人参、ブロッコリー。

利き酒会には、主菜として銀鮭のガーリックソテーに夏の焼き野菜を添えて。

御食事には、焼きおにぎりの梅茶漬け。
海苔の風味豊かなお出汁に、香ばしい焼きおにぎり。梅肉でさっぱりといただきます。
水菓子は夏の香り豊かなマンゴープリンで締めくくります。

落語を楽しむ

開口一番『まぬけ泥』三遊亭じゃんけん

 本日の開口一番をお勤めいただいたのは、兼好師匠の二番弟子、三遊亭じゃんけんさん。
師匠に名前の候補を用意してもらっただが、他の2案は「検便、検尿」と、じゃんけんをえらぶしかなかったのです、と会場を沸かせます。

「お名前だけでも、覚えて帰ってください」とじゃんけんさん。しっかりとお名前の印象を付けられたのではないでしょうか。

 演目は、まぬけ泥。
どじで要領が悪く、なかなか実績を出せない新米の泥棒。泥棒の親方へ相談にいき、空き巣に入る方法を教えてもらい、早速出かけていきます。

なんとかかんとか、空き家に忍び込むことができた新米泥棒。
しかし、ついつい仕事を忘れタバコをふかしたり羊羹をかじったり。
そうこうしているうちに、二階に居た住人と出くわしてしまうが...。

「出来心」という古典落語の、前半を抜き出した愉快なお話で会場を盛り上げ、開口一番のお役目を勤め上げていただきました。

一席目『たがや』三遊亭兼好

 みなさまお待ちかね。本日の主役、三遊亭兼好師匠の登場です。今や押しも押されぬ実力と人気を兼ね備えた古典落語の担い手の登場に、期待は高まり、拍手、拍手で迎えられます。

 今年の猛暑についてお話を始めます。
昔の人はクーラーなどがないので、夏の風物詩をたのしんでいたそうで、その一つが、花火です。「タ〜マヤ〜〜」という掛け声の話題から、落語界における「掛け声」について教えてくださいます。

 歌舞伎の掛け声のように、噺家が登壇する際、その噺家の住んでいる地域を呼ぶ、という風習があるそうです。例えば、昭和の名人、志ん朝師匠は日暮里に住んでいたそうなのですが、舐めるようにゆっくりとした動作で登場するので、お客さんの方も心得ており、「にぃっぽり、たーっぷり」と少し間をおいて掛け声をかけて居たそうです。 粋な文化ですね。

三遊亭兼好

 演目は枕でもお話しされていた、花火をテーマにした古典落語「たがや」。
花火大会でごった返す両国橋で、箍(たが)屋と、血の気の多い侍とのいざこざを描いたドタバタ劇です。メリハリの効いた語り口で会場を爆笑の渦に巻き込みます。

〜仲入り〜

二席目『宮戸川』三遊亭兼好

 休憩をはさみ、二席目の開幕です。
笑点に出演されている三遊亭好楽師匠のお弟子さんにあたる兼好師匠。
先日、お亡くなりになった桂歌丸師匠の思い出をお話しくださいます。

 自分の弟子にはとても厳しい人だったが、楽屋でお世話をしてくれる、よそのお弟子さんには、大変優しく、ご祝儀を渡す際も、必ず両手で「ありがとうございました。」ととても丁寧な方だったそうです。

 どんなに若く経験のない前座さんにも、決して態度を変えないとても丁寧な師匠だった、とエピソードとお話しされると、会場からは感嘆の声が上がりました。

演目は「宮戸川」。お花半七と呼ばれる、前半部分を演じます。

 小網町にすむ半七という青年。遊びに興じ夜遅くなってしまったため締め出しを食ってしまいます。親戚のおじさんの所に泊まりに行こうとした矢先、幼馴染のお花に遭遇します。

 「ついていきたい」というお花。しかし、若い男女二人と見れば、すぐにくっつけようとする叔父さんの手前、困り果ててしまう半七出会ったが...。

クライマックス。
お花との色っぽいシーンを予感させ、「続きは次回に」とサゲ、会場を沸かせました。

江戸伝統野菜を楽しむ

OmeFarmの島田さん

 毎度おなじみとなりました、Ome Farmの島田さん。
観測史上初となる40度越えを記録した青梅市で、安心・安全な野菜作りをされています。

ご紹介いただいた今宵の江戸伝統野菜は「寺島なす」。現在の墨田区、白鬚神社の周辺にかつてあった寺島村という地域で作られていた品種です。

夏野菜の辛子味噌和え

 隅田川上流から運ばれた肥沃な土地はなす作りに適しており、名産地として「寺島なす」と呼ばれるようになりました。
小ぶりでとろけるような柔らかい食感が特徴です。

本日は、先付として辛子味噌をかけてお召し上がりいただきました。

お酒を楽しむ

木内酒造

 本日のお酒をご用意頂いたのは、二度目のご紹介となります茨城県の木内酒造さん。
今回は、杜氏の山田さんにもお越しいただき、お酒の解説をしていただきます。
山田さんは、前回の東寄席でご紹介させていただいた2017年に、お酒作りに携わり始めたばかりの、若手の杜氏さんです。

 伝統の世界で奮闘する、若い世代のお話を直に聞くことができるのも、この東寄席ならではの醍醐味です。

本日の日本酒

(写真左から)

菊盛 純米吟醸本生酒 夏初月

夏季限定、高級酒米「山田錦」を50%精米で使用した贅沢な一本。
フレッシュな香り、瑞々しい爽やかな飲み口が特徴です。

菊盛 ピュア茨城純米酒「風と水」

茨城県で開発された酒米「ヒタチニシキ」を使用。
他にはない、すっきりとしたタイプのお酒です。

常陸野ネスト ラガー

世界の名だたるビアコンテストで最高賞を受賞してきた常陸野ネスト。
本日お持ちいただいたのは、定番のラガー。
夏に飲むのに適した、香り豊かで苦味もしっかりと感じられるビールです。

菊盛 純米樽酒

木内酒造の中で最もベーシックな純米酒。
燻製など、スモーキーな食材と合わせると良さが引き立ちます、と山田さん。

お買い物を楽しむ

 東寄席では、江戸東京野菜を提供していただいているOme Farmさんをはじめ、美味しいお酒をお持ちいただいている酒造さんによる即売会が行われることもあり、お土産選びをお楽しみいただいています。

OmeFarmの江戸東京野菜
  • 木内酒造さんによる即売会
  • 三遊亭兼好師匠の本やCDの即売会

 今回はOme Farmさん、木内酒造さん、兼好師匠の関連書籍などの即売会を開催いたしました。
圧巻の高座や美味しいお野菜・酒など、今宵の楽しいひと時を、思い出とともにお持ち帰りいただきました。

お楽しみ抽選会

  最後は東寄席恒例の「お楽しみ抽選会」です。

  • 樽酒、純米酒、ミニボトル5本セットなどのお酒
  • Ome Farmさんのお野菜お届けセット
  • 木内酒造さんの前掛け
  • 三遊亭兼好師匠のサイン色紙

 Ome Farmさんからはお野菜お届けセット、そして本日お酒を提供して頂いた木内酒造さんからは、樽酒、純米酒、ミニボトル5本セットなどのお酒のほか、グラス・コースター・キーホルダーのグッズ3点セットや、常陸野ビールのTシャツを。演舞場からは新橋の若手芸者衆が出演する「なでしこの踊り・夏2018」に出演された、新橋・赤坂芸者衆の千社札。三遊亭兼好師匠からは、著書や可愛いイラスト付きのサイン色紙が送られました。全て違う絵柄の素敵な色紙は、じゃんけんで選んでいただきました。

今回も満員御礼となった東寄席

番号が発表されると、各テーブルからはわあっと拍手が起こります。お隣あったお客様同士、盛り上がれるのも東寄席の楽しみです。

今回も満員御礼となりました、大盛況のうちに幕を閉じた『東寄席』。
次回は2018年8月31日(金)、「柳家喬太郎 独演会」です!どうぞお楽しみに!

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