演舞場発 東寄席 第四十二回

演舞場発 東寄席 第四十二回 2018年8月31日(金)

 第四十二回 『落語と日本酒と伝統野菜を楽しむ会』にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。

『第四十二回 落語と日本酒と伝統野菜を楽しむ会in新橋演舞場』柳家喬太郎

 去る八月二十九日に開催されました「東寄席」。
立秋を過ぎましてもなお厳しい暑さが続いておりますが、
沢山のお客様にお越しいただき、満員御礼となりました。
三度目のご登壇となります柳家喬太郎師匠に高座をお勤めいただきご堪能いただきました。

お食事は、新橋料亭街伝統の味を受け継ぐ演舞場の調理場でご用意しました。
本日のお料理と共にお楽しみいただくお酒は、
こちらも三度目のご紹介となります平和酒造さんにご用意いただきました。
それでは振り返りをご紹介いたします。

演舞場の味覚を楽しむ

本日の演舞場のお料理

「落語と日本酒と伝統野菜を楽しむ会」では、新橋料亭街の伝統を汲む、新橋演舞場調理場にて四季折々の風情をお愉しみ頂く特別献立をご用意しております。

酒の肴膳として、
先付けには本日のお野菜、空芯菜の煮浸しをお召し上がりいただきました。

八寸には、季節の恵たっぷりの色鮮やかな夏野菜おろしポン酢掛け、
もろこし豆腐蒸し雲丹添え、紅てまり串刺し、京なます、小松菜胡麻和え、玉子焼、湯引き鱧梅肉添え、茄子、山芋、しし唐、パプリカの揚げ野菜甘辛みそ和え。

向付は鮪と、今が旬の烏賊ソーメン。
日本酒を楽しむ会には、主菜として黒むつ西京焼に花蓮根甘酢漬と蕗の佃煮を添えて。

お食事には、香ばしい焼きおにぎりをじゃこ山椒茶漬けでお召し上がりいただきました。
デザートは、涼しげな愛玉子風ゼリーとマンゴープリンで、すっきりと締めくくります。

落語を楽しむ

開口一番『雛鍔』柳家かな文

 本日の開口一番をお勤めいただいたのは、今回で三度目の登場となりました橘家かな文さん。演目は「雛鍔」です。

 八歳の若様が天保銭を湖のほとりで拾います。
高貴なお家柄、<お金>というものを見せてもらったことのない若様は、丸くて四角い穴の空いた天保銭を、「お雛さまの刀の鍔(つば)」であると言います。それを見ていた植木屋はいたく感心し、口を開けば「銭をくれ」とせがむ自分の息子を嘆きます。それを聞いていた息子との会話を描いた古典落語の滑稽噺です。

 「武士は喰わねど高楊枝」という江戸の清貧思想が色濃く表れた演目。江戸の文化を楽しむ東寄席にぴったりのお噺に、会場も温まります。宴の幕開けをしっかりと盛り上げていただきました。

一席目『花筏』柳家喬太郎

柳家喬太郎

 拍手喝采で出迎えられたのは、本日の主役、柳家喬太郎師匠です。
「如何わしいのイ、穢らわしいのケ」の池袋から派遣されてきました、と掴みから、爆笑を誘います。
 スポーツ界のハラスメント問題を取り上げたくだりでは、体を大きく使って観客を魅了します。
流石、マクラにも定評のある喬太郎師匠。私たちの心をぐっとつかんだところで、本題「花筏」が始まります。

 人気力士の大関花筏が体調を崩してしまい、明日からの興行に穴が空いてしまう、と悩む相撲部屋の親方。
 顔見知りの提灯屋に、破格の手間賃で替え玉を頼みに行きます。「病気だと伝えてあるから相撲は取らなくていい」という条件でしたが、大好きな相撲見物、更にご馳走にお酒を振舞われ、連日大はしゃぎをしてしまう提灯屋。

「これだけ元気なら土俵に上がってくれ」と興行主に言われ...。

〜仲入り〜

二席目『品川心中』柳家喬太郎

  • 柳家喬太郎
  • 柳家喬太郎

 仲入りを挟み、衣装替えをして登場した喬太郎師匠。
さらりと本題に入りますが、一席目から興奮冷めやらぬ客席は、
仕込まれたアレンジに大盛り上がり。
「何が面白いんだ、おかしくねーだろ!」
「もう落語を聞くって雰囲気じゃないね、総決起集会だね」と
客席とのコミュニケーションも巧みに織り交ぜます。

演目は「品川心中」。
品川遊郭、白木屋のナンバーワン遊女、お染は金がないことを理由に自殺を考えます。
そこで道連れとして選ばれたのが「いいひとで、ちょっと馬鹿な」馴染み客、金蔵です。
海に飛びこもうと桟橋までやってきた二人。土壇場でお染に裏切られ、
一人海に突き落とされてしまった金蔵でしたが、当時の品川は遠浅の海。
生き残った金蔵は、仕返しを企てます。

エンターテイメントたっぷりの舞台で、会場は大笑いに包まれました。

江戸伝統野菜を楽しむ

OmeFarmの島田さん

 猛暑の中、本日のお野菜「空芯菜」を届けてくれたのは、青梅市で有機野菜を栽培するOme Farmの島田さん。
サツマイモと同じヒルガオ科の植物で、シャキシャキとしていて少しぬめりのある食感が特徴です。
熱帯アジアが原産の空芯菜は、とても暑さに強く、「これが育たなくなったら、もう終わりだな、と思う。」と島田さん。

 東南アジアだけでなく沖縄県では古くから「ウンチェー」と呼ばれ、栽培されていました。
江戸だけではなく、幅広いジャンルで伝統野菜と出会えるのも、この会の楽しみの一つです。
そんな生命力にあふれた空芯菜を本日は煮浸しでお召し上がりいただきました。
また恒例の生はちみつやお野菜セットの即売会も、大盛況となりました。

  • 樽酒、純米酒、ミニボトル5本セットなどのお酒
  • Ome Farmさんのお野菜お届けセット

お酒を楽しむ

 今宵、美味しい日本酒をご用意いただいたのは、三度目のご紹介となります和歌山県の平和酒造さん。杜氏の柴田さんにお越しいただき、神奈川県本厚木の酒屋さん「望月商店」の望月太郎さんと共に本日のお酒をご説明いただきました。

  • 樽酒、純米酒、ミニボトル5本セットなどのお酒

    「望月商店」望月太郎さん

  • Ome Farmさんのお野菜お届けセット

    「平和酒造」柴田さん

 平和酒造は昭和3年創業、戦時中はお酒造りを中止していましたが、
戦後、平和を願い「平和酒造」と名付け営業を再開しました。
当時は50〜60代のベテラン杜氏さんで酒造りをしていましたが、
20年ほど前に後継者問題に直面し若手社員を採用。その第一号が柴田さんです。
現在は平均年齢30代、ほとんどの杜氏さんが20代という若いメンバーでお酒を作っています。
「紀州の風土」の紀・土をとって「紀土(キッド)」と名付けられたお酒をお持ちいただきました。 日本酒が苦手な方でも飲みやすい日本酒、を目指したお酒です。

OmeFarmの島田さん

 高野山から流れてくる柔らかい伏流水を使用している平和酒造では、紀州名物の果物を使用した梅酒・ゆず酒・夏みかんのお酒も作っているとのこと。また、本日一杯目にお召し上がりいただいたビールも、若い女性社員の希望で作り始めました。

有名銘柄だけではなく、伝統を大切にしつつも若い力で頑張っている日本全国の酒造・銘柄に出会えるのも、東寄席ならではです。

本日の日本酒

(写真左から)

地ビール 平和クラフトビール(IPA)

苦味が際立つインディアンペールエール。
「The International Beer Cup 2017」で金賞を獲得しています。

紀土 純米酒

フルーティな吟醸香がありながら、後味はすっきりとした飲み口のお食事にぴったりなお酒です。

紀土 純米吟醸

果実のような香りと、後から追いかけてくる旨味。奥行きのあるお酒です。

紀土 純米大吟醸

50%まで削った山田錦を贅沢に使用した純米大吟醸。
大吟醸らしいふくよかな香りと酸味が特徴です。

お楽しみ抽選会

 最後は東寄席恒例の「お楽しみ抽選会」です。

OmeFarmの江戸東京野菜 OmeFarmの江戸東京野菜

 喬太郎師匠のイラスト入り色紙や、
平和酒造のクラフトビール・4代目当主山本典正さんの書籍、
Ome Farmからはご自宅にお届けするお野菜セットなど、豪華プレゼントが当たるお楽しみ抽選会。
宴も盛り上がり、この頃にはお客様もお隣同士和気藹々と、抽選結果に一喜一憂されていました。

 今回も満員御礼となりました『東寄席』。大盛況のうちに幕を閉じました。
次回は2018年9月29日(土)、「立川生志独演会」です!どうぞお楽しみに!

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