演舞場発 文化を遊ぶ 第十三回

第13回 演舞場発 文化を遊ぶ 第10回 なでしこの踊り・早春2019

なでしこの踊り・早春 2019
なでしこの踊り・早春 2019

ご好評いただき十回目の開催となりました東京新橋組合とのコラボレーション企画、新橋芸者衆 若手連中による「なでしこの踊り」。

食と芸の粋を楽しむ、日本を遊ぶ文化の宴。
今回は、狂言の披露や新しいお座敷遊びなど、これまでとは違った趣向を凝らした会となりました。それでは振り返りをご紹介いたします。

出演芸者衆のご紹介

【一組】

  • のりえさん

    のりえさん

  • 小福さん

    小福さん

  • 小花さん

    小花さん

  • 小優さん

    小優さん

【二組】

  • 千代加さん

    千代加さん

  • 清乃さん

    清乃さん

  • たまきさん

    たまきさん

  • 春千代さん

    春千代さん

本日の特別会席

新橋花柳界の流れを汲む新橋演舞場の調理場でご用意した特別会席弁当をお楽しみ頂きました。桜色や緑色の彩も美しく、早春らしい華やかな御膳となりました。

本日のお料理

八寸には、福砂焼、一口昆布、今が旬の鰆辛味噌焼、玉子焼、甘海老の甘露煮、
蓮根甘酢漬け、茄子のひき肉挟み揚げ、野沢菜のお浸し、いちご大福。
向付は鮪、鰆、甘海老。

多喜合わせは、里芋、蒟蒻、筍、ブロッコリー、花人参。ふわふわした食感と風味豊かな白子つみれ。

甘味は杏仁豆腐 フルーツ添えでさっぱりと。
御飯は五目御飯、留椀は結び鱚、三つ葉、柚子。

芸者衆による よもやま話と踊り解説

演目の披露の前に、大きいお姉さんによる踊りと狂言の解説です。

  • 解説

    小喜美さん

  • 解説

    加津代さん

加津代さんと

なでしこ今回初の試みとなる狂言の演目についてお話くださいます。
狂言を習い初めるきっかけは、昭和30年頃、新橋で活躍していたスター芸者まり千代姐さんが、東をどりで披露していた舞踊劇で客席の隅々までセリフが届くように発声力を鍛える事が目的だったそうです。いまでも、新橋ならではの習い事として続けているそうです。
また、日本中の花柳界で狂言を習っているのは唯一新橋だけだそうです。
工夫を凝らして宴席を盛り上げてきた歴史を感じます。

続いて芸者衆の衣装の解説です。
今宵は装いも例年とは違った趣向で、正装の黒紋付ではなく、普段お座敷に上がるお着物をお召しになっています。

  • 解説

    高島田

  • 解説

    つぶし島田

解説

女方の若い芸者衆の髪型は高島田。べっ甲に銀簪、銀の前ざしをつけます。
年上のお姉さん方は、高さを抑えた「つぶし島田」という髪型になります。

黒紋付の場合は柳という長く垂らした帯を締めますが、今回は色無地のお着物ですので、おり帯を角出しに結びます。

なでしこの踊り

狂言「盆山」

  • 狂言「盆山」
  • 狂言「盆山」
  • 狂言「盆山」
  • 狂言「盆山」

なでしこの踊りでは初の試みとなるお狂言。当時流行していた盆山(盆栽に似た鉢植えや箱庭)をこっそりと盗み出そうとする筋書きです。これまでのなでしことは趣の変わった舞台をご覧いただき、お客様から笑いと温かい拍手が贈られました。

小唄「江戸祭」

小唄「江戸祭」 小唄「江戸祭」

江戸八百八丁の祭りを題材とした大和楽の曲。お祭りの風情を描いた東都の唄を、出演者総出で踊ります。狂言と踊りのときの芸者衆の表情にもご注目ください。

端唄「木遣りくずし」

端唄「木遣りくずし」
  • 端唄「木遣りくずし」
  • 端唄「木遣りくずし」

明治から東京の花柳界で流行した端唄。御神灯を軒先に下げた町屋から旦那衆の木遣り唄が漏れ聞こえる。そんな下町の粋な情景を女方二人で踊ります。「木遣り」とは、材木を運ぶ際の労働歌のこと。また新橋演舞場からほど近い木挽町は、木場から江戸城へ木を引いて持っていったことから、その名がついたと言います。

小唄「俄獅子」

小唄「俄獅子」
  • 小唄「俄獅子」
  • 小唄「俄獅子」

男方二人で勇ましく踊るのは、江戸の廓・吉原には仮装をして踊る年中行事「吉原俄」がありました。この舞りは、俄と獅子舞を組み合わせたもの。扇子を獅子頭に見立てた扇獅子という小道具を使います。また、赤と白の布を大きく振って、歌舞伎の連獅子を連想させる演出にも注目です。

清元「神田祭」

清元「神田祭」
  • 清元「神田祭」
  • 清元「神田祭」

江戸の二大祭りでもある神田祭。それを題材にした清元の一節です。祭りの高揚感と喧騒が残る中に迎える明け方の雰囲気を賑やかに踊ります。芸者の艶姿と頭の粋な姿をご覧いただきました。

端唄「さわぎ」

端唄「さわぎ」 端唄「さわぎ」

なでしこの踊りご常連のお客様にはすでに耳慣れた花街定番の端唄。お初のお客様も、是非この一曲を覚えてお帰りください。元々吉原で演奏されていた時よりも早めのテンポが新橋流。吉原にお伺いを立ててアレンジしたと言います。

お座敷遊び

  • お座敷遊び 「虎けん」
  • お座敷遊び 「ギッチョンチョン節」

狂言や踊りを堪能していただいた後は、みなさまお待ちかね、芸者衆と楽しむお座敷遊び体験です。
お客様の中から5名の方に、お座敷遊びの定番「虎けん」に参加していただいた他、今回は初めて「ギッチョンチョン節」体験も。
大きいお姉さん、芸者衆のお手本を見ながらお座敷で使える踊りを覚えていただきました。

芸者衆との交流タイム

お座敷遊びのあとは、芸者衆が会場を回る交流タイムです。 記念写真を撮ったり、質問や踊りの感想をお話いただいたりと、思い思いに芸者衆とのふれあいの時間を楽しんでいらっしゃいました。
本日の演目で使用した曲が入ったCDプレゼントじゃんけん大会なども行われ、会場は大いに盛り上がりました。

  • 芸者衆との交流タイム
  • 芸者衆との交流タイム
  • 芸者衆との交流タイム

前回は半玉さんだったたまきさん、お見習いさんだった春千代さん、今回が芸者としての舞台デビューとなるお二方が緊張した面持ちで登場されたのが印象的でした。また、地方にはこれまで立方として出演されていた、ちよ美さんの姿も。
芸者衆の成長を見守ることができるのも、なでしこの踊りの楽しみ。
是非ご贔屓の芸者さんを見つけて、東をどりにも足をお運びください。
最後は芸者衆とお姐さん方からのご挨拶と、手締めで締めくくりとなりました。

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