演舞場発 東寄席 第五十九回

演舞場発 東寄席 第五十九回 2019年8月28日(水)

第五十九回東寄席、『落語と地ビール&日本酒と伝統野菜を楽しむ会』にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。

『第五十九回 落語と地ビール&日本酒と伝統野菜を楽しむ会in新橋演舞場』橘家文蔵

季節は立秋を過ぎてなお厳しい暑さが続いておりますが、沢山のお客様にお越しいただきました。

本日の高座には初出演となります三代目橘家文蔵師匠をお迎えしました。がっしりした体格とドスの効いた威勢の良い口調、それでいて登場人物の心理を丁寧にかつ繊細に表現する話芸が人気で、本日の高座も期待に胸が高鳴ります。

お料理と共にお楽しみいただいたお酒は、今回が三回目のご紹介となります茨城の木内酒造さんです。創業文政六年(一八二三年)、一九五年と歴史のある蔵元さんで、近年では地ビール製造にも着手、地ビール分野の草分け的存在です。

それでは振り返りをご紹介いたします。

演舞場の味覚を楽しむ

本日の演舞場のお料理

高座と日本酒を楽しみながらお召し上がりいただくお料理は、新橋料亭街伝統の味を受け継ぐ演舞場の調理場でご用意させていただきました。

先付けには、寺島なすのオランダ煮。

八寸には、南瓜饅頭かに入り銀あん掛け玉子焼、海老芝煮、花蓮根甘酢漬け、菊花膾、秋刀魚のわた焼、茄子の甘酢和え、揚げ山芋の青のりまぶし、金平牛蒡肉巻き、夏野菜のゼリー寄せ。

向付は鮪、蛸のたたきをご用意しました。

主菜は銀ダラ西京焼しじみ時雨煮添え。

御飯として本日は茶そばを、最後に水菓子として葛餅のアソート(抹茶&檸檬)をお召し上がりいただきました。

落語を楽しむ

開口一番『薬缶』春風亭与いち

本日の開口一番をお勤めいただいたのは春風亭一之輔師匠のお弟子さんである春風亭与いちさん。

何でも知ったかぶりをするご隠居、あの手この手でなんとか困らせてやろうとする八五郎。やり取りの滑稽さと分かりやすさに、会場もすぐに温まります。

一席目『試し酒』橘家文蔵

一席目『試し酒』橘家文蔵

大きな拍手とともに橘家文蔵師匠のご登壇です。

客席からは「待ってました」の掛け声も瞬き、人気の高さが伺えます。新橋演舞場での高座と聞いて驚いたが蓋を開けてみると地下の食堂で、という自虐ネタと独特の言い回しに会場は早くも抱腹絶倒となります。

そんな文蔵師匠の一席目は『試し酒』。近江屋の主人が曰く、うちの下男の久蔵は五升は酒が飲めるとのこと。これを聞いた尾張屋の主人と賭けをすることに。コミカルなキャラクター表現が絶妙で、圧巻はお酒を飲みすぎて苦しくなってきた久蔵がお酒を重ねる様子。本当に飲んで酔っ払っているのかのような表情に会場全体が息を呑んで見守ります。最後、まさかの試し飲みをしていたという落ちに、会場はすっかり爆笑に包まれていました。

〜仲入り〜

二席目『子は鎹』橘家文蔵

二席目『子は鎹』橘家文蔵

仲入りをはさみ、すっかり文蔵師匠の作り出す楽しい雰囲気に魅了された客席からは大きな拍手。「たっぷり」の掛け声も響きます。

「なにがたっぷりだよ」と間髪入れず文蔵師匠のツッコミが入り会場はすぐさま大爆笑に。ほどなく二席目『子は鎹』が始まります。

古典落語の一つで、人情噺の名作です。上・中・下の三部作のうち、今回は下のお話となります。過去の酒癖の悪さをあらためた熊五郎は、現在ではすっかりまじめに働き、別れた子供を想う日々を過ごしています。言葉のぶっきらぼうさの中に、親の愛情が滲み出た文蔵師匠ならではの表現力に会場も引き込まれます。

子供のユーモアの聞いた反応や、恥じらいのあるおっかさんの言葉、幅の広い人物表現には会場も一体となって熊五郎親子の行く末を見守ります。
めでたく復縁となった夫婦を前に「子は鎹か、だからあたいのことをゲンノウで打つって言ったのかい」と子供の最後の一言で、会場からは割れんばかりの拍手に包まれ高座を後にされました。

江戸伝統野菜を楽しむ

本日も、江戸東京野菜コンシェルジュの資格を持つOmeFarmの島田さんが、美味しいお野菜をご紹介くださいました。

本日の野菜は寺島なす。
演舞場ではおなじみの島田さん、すっかり日に焼けられ今年の夏の厳しさを物語っています。墨田区にあった寺島という地名から名付けられた寺島なす。育てるのも大変で今や種を入手するのも大変なのだそう。おすすめの食べ方などをお話いただき、この日の即売会も大変盛況でした。

お酒を楽しむ

  • 望月酒店さん
  • 国権酒造さん

今宵のお酒を提供していただいたのは茨城に酒蔵を構える木内酒造さん。
「東寄席」では三度目のご紹介です。
茨城では日本酒が昔から盛んに作られているとのことで、地形的に平野が多く大きな河川(利根川、中川、久慈川)が多いため環境が整っているのだそうです。現在も四〇ほどの蔵元があり、歴史のある蔵元が多いのだそうです。
今宵は木内酒造の杜氏である山田さんにそのお酒の魅力を直接お話しいただきました。

本日の日本酒

(写真右から)

常陸野ネストビール

国産のゆずをふんだんに使った香り豊かな、ホップの苦味とモルトの旨味の効いたビール。

菊盛 純米吟造り

香りが主張せず、甘みも抑えめでお米の旨味がいきていて、晩酌にもぴったりなお酒。

菊盛 ピュア茨城 蔵生

お米(ひたち錦)、水、酵母もすべての原料を茨城産で仕上げた一品。木桶で作られており、複雑な味わいに仕上がっている。

菊盛 純米吟醸本生酒 夏初月

香りが軽快で甘みを抑えて酸味が効いており、夏にぴったりな軽快なお酒。

お楽しみ抽選会

最後は東寄席恒例の「お楽しみ抽選会」です。
演舞場からは橘家文蔵師匠のサイン入りポスターと、歌舞伎座のチケット。木内酒造さんからは飲み比べセット、日本酒、Tシャツ、OmeFarmさんからはお届けお野菜のセット、文蔵師匠からは言葉がそれぞれ異なる色紙をご提供いただきました。

  • 望月酒店さん
  • 国権酒造さん

今回も満員御礼、大盛況のうちに幕を閉じた『東寄席』。
次回は
2019年9月27日(金)〜28日(土)「東寄席NEXT season2」
2019年9月29日(日)「月亭方正独演会」
2019年9月30日(月)「柳亭市馬独演会」
です!どうぞお楽しみに!

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