演舞場発 文化を遊ぶ 第十五回

第15回 演舞場発 文化を遊ぶ 第12回
なでしこの踊り・早春 2020

今回は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、1回限りの公演となりましたが
その時も模様をお伝えしたく、このレポートを上げることといたしました。
日頃より新橋芸者衆若手を応援いただいている方で
今回お越しいただけないかった方にもその雰囲気だけでも味わっていただこと思っております。

なでしこの踊り・早春 2020
なでしこの踊り・早春 2020

 
ご好評いただき十二回目の開催となりました東京新橋組合とのコラボレーション企画、新橋芸者衆 若手連中による「なでしこの踊り」。

食と芸の粋を楽しむ、日本を遊ぶ文化の宴。
今回は早春ならではの装いと踊りを堪能していただきました。

それでは振り返りをご紹介いたします。

出演芸者衆のご紹介

  • 春千代さん

    春千代さん

  • ぼたんさん

    ぼたんさん

  • 千代加さん

    千代加さん

  • たまきさん

    たまきさん

本日の特別会席

本日のお料理

新橋花柳界の流れを汲む新橋演舞場の調理場による特別会席をお楽しみ頂きました。
早春らしい、華やかな御膳をご用意しました。

八寸には、玉子焼、焼き蒲鉾、一口昆布巻、花蓮根甘酢漬け、胡麻豆腐、海老芝煮、ほうれん草の胡麻和え、磯貝の串さし、豚肉野菜巻。
焼物には、赤魚の粕漬焼きに、黒豆松葉串刺しと刻み芝漬けを添えたものを。
向付は鮪と鯛と甘海老の刺身。

多喜合わせに、一口がんも、蒟蒻、筍、オクラ、切り干し大根、鴨のつくね、花人参。

白飯と、湯引き結び鱧、三つ葉、柚子、板麩の留椀の後には、甘味として桃を模した練り切り菓子をお召し上がりいただきました。

芸者衆による よもやま話と踊り解説

  • ぼたんさんと
  • ぼたんさんと

演目の披露の前に、ぼたんさんから踊りの解説と、それに併せたよもやま話をご披露いただきました。

それでは、実際の踊りの写真とともにその内容をご紹介いたします。

なでしこの踊り

小唄「三番叟」 立方 千代加、たまき

小唄「三番叟」

五穀豊穣を祈る厳かな三番叟を小唄に置き換えた、艶やかな祝儀舞。

全体を通して引き締まった表情で行われた舞ですが、事前にぼたんさんから「途中のやわらかな部分にも注目して欲しい」と解説いただいていたことで、厳かな舞の中に散りばめられた遊び心にも魅せられました。

小唄「三番叟」

小唄「おせん」 立方 ぼたん

  • 小唄「おせん」
  • 小唄「おせん」

江戸時代に評判の美人であったおせんを描いた小唄。

花を一枝手に舞われるのは、待人を想う踊りとのこと。
錦絵のモデルにもなった谷中笠森稲荷の水茶屋の看板娘であったおせんですが、そうした美女が待人への想いを繊細な仕草で表現した、いじらしい舞です。

端唄「梅は咲いたか」 立方 千代加、ぼたん、たまき、春千代

  • 端唄「梅は咲いたか」
  • 端唄「梅は咲いたか」

新橋花街の風情や花見の酒宴で賑わうひとびとのおかしみを織り込んだ洒脱な端唄。

唄には新橋花柳界にまつわる文句が散りばめられており、当時の賑わいと華やかさが目に浮かぶ、早春にふさわしい愉快な舞でした。

端唄「春雨」 立方 たまき

  • 端唄「春雨」
  • 端唄「春雨」

梅を男に、その梅にとまる鶯を女に喩えた端唄。

とまり木をひとつと心に決めた女の想いを表した舞だけに、「色気をどう表現するかに苦労した」とたまきさん。
梅と鶯を扇を使った細やかな手振りや目線で表現し、一途な女の健気さを描いていました。

端唄「銀座懐古」 立方 ぼたん、春千代

  • 端唄「銀座懐古」
  • 端唄「銀座懐古」

縁日の雑踏で出会った新橋芸者と男の恋模様を、古き良き銀座の風景の中に描く端唄。

物語仕立てであることから、踊り過ぎずに、さりげなく風景を描くことに注意したと解説してくださった演目です。
そうしたことを意識されているからか、男と芸者の恋模様が銀座の景色に比べて際立つことなく、風景のひとつとして描かれている粋な舞でした。

俗曲「金来節」 立方 千代加、ぼたん、たまき、春千代

俗曲「金来節」

元は寄席から派生し、花柳界でも人気となった俗曲。

コミカルな雰囲気で表現されるのは、富士の景色や吉原の風情といった明るい舞です。

俗曲「金来節」

端唄「さわぎ」 立方 千代加、ぼたん、たまき、春千代

端唄「さわぎ」

最後は花柳界では頻繁に踊られる、お座敷定番の端唄。

定番の端唄「さわぎ」ですが、黒の着物、赤い襦袢にかんざしといった「芸者の正装」で演じられるのは新春のみとのこと。
賑やかな舞と厳かな装いの組み合わせという、早春ならではの光景での粋な締めとなりました。

端唄「さわぎ」

芸者衆との交流タイム

  • 芸者衆との交流タイム
  • 芸者衆との交流タイム
芸者衆との交流タイム

「なでしこの踊り」を堪能して頂いた後は、様々な形で芸者衆と交流していただきました。

最後は芸者衆と加津代さんにご登場いただき、ご挨拶と、三本締めでくくりとなりました。

芸者衆の成長と変化を見守ることができるのも、なでしこの踊りの楽しみです。
是非ご贔屓の芸者さんを見つけて、東をどりにも足をお運びください。

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